第三話 独学修行開始

ラーメン屋になろうに決心した志士。
なぜラーメン屋なのか?
それは組織で働くことに向いてないということを理解したことで一人でも出来そうな仕事を考えた結果辿り着いた結論だった。
それに加えてあともう一つ理由があった。
単純にラーメンが大好きでめっちゃ食べ歩きをしていたという安易な発想からである。
まあ安易ではあるがとりあえず自分の興味がある分野であるということは大事なことだと思う。
興味のないことには一切気分が乗らないというわがままな性格なので・・笑

という感じでラーメン屋になるという目標に向けて始動することになったのだが、そこにいきなり壁が立ちふさがる。

「で、ラーメンってどうやって作るの?」

そう、志士はラーメンを食べるのは好きだったが作り方など何一つ知らなかった。
そもそも料理自体ほとんどしたことがない。
どんな材料が必要なのかすら分からない。
まさに純粋無垢な真っ白いキャンバスである。(あなた色に染まります・・ってやかましいわ!)

今の時代ならネットで調べれば色々な情報を簡単に集めることが出来たのだが、当時はまだネットが今の様に発達していなかった(Googleなんて聞いたことがなかったし、Facebookが存在していなかった時代)。
知識もないし情報も得られないという八方塞がりの状態からのスタートである。

当然会社には行っているのでどこかに修行に行くことも出来ない(行く気もなかったけど・・笑)
すべて一から自分でやるしかなかった。

まずは、とりあえず「骨」がいるらしいということを知った志士はお肉屋さんに行ってみた。
そして屈託のない顔でお肉屋さんに言った。

「すみません。骨をください!」

お肉屋さんが固まって不思議そうな顔をした。
その顔には「なんか変なヤツが来た~」と明らかに書いていた笑。
お肉屋さんは少し困った顔で子供に諭すかのように「いや、骨は売ってないんですよ」と教えてくれた。
それを聞いてショックを受ける志士。

「もはやここまでか・・」と目標を断念しかけたその時!
志士の目にあるものが光り輝いて映った。

それはスペアリブ!

そう!ちょろっと骨が付いていることでおなじみのあの「スペアリブ」である。

「骨が付いてるからこれでいいやん」と喜び勇んでそれを購入。
ものはついでだとばかりに「鶏の骨付きもも肉」まで購入に成功。
上機嫌で家路に着いた。

ホームセンターで家庭用の寸胴鍋を購入し、早速「スペアリブ」と「鶏の骨付きもも肉」をぶち込んでスープを炊いてみた。

結果はもちろん言うまでもなく・・ラーメンとは全く無関係なものが出来上がった。

今思い返してみると、あまりにもバカ過ぎる・・いやバカという範疇を超えて逆に愛らしいエピソードなのだが笑。
こんな状態から独学修行はスタートした。

「北九州の醬油ラーメン らーめん志士」はラーメンとはとても言えないようなスープから始まった。
まさかあれほど長く険しい道のりになるということをこの時の志士はまだ知らなかったのだけれども。


第四話 苦難の独学修行の果てに に続く




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